2009年12月23日水曜日

定型表現・常套句について

私は言語心理学・応用言語学・言語教育学などが中心の『第2言語習得セミナー』を大学院で教えています。2009年の秋学期は、大学院で、認知意味論・語用論・言語地理学・方言地理学などの言語学諸分野と文化人類学や異文化心理学を含む『社会言語学セミナー』を担当しました。セミナーを興味深く継続させるため、新しい言語表現を含め、社会言語学やそのほかの分野での新しい情報を入手してゆくことが不可欠になります。夏に日本のテレビ放送をコンピューターで手軽に受信する方法を教えてもらい、そうした媒体が新しい情報源となっています。ご存じかとは思いますが、フジテレビ系列のバラエティー番組『笑っていいとも!』で、日本在住の外国人が日本語表現に関して質問するコーナーがありました。そこでは、たとえば「物差しと定規は、どうちがうの?」や「刑事は、どうしてデカと言うの?」というような質問が発せられていました。また、アメリカ人英語教師が「『先生はお腹をお立てになりました』と日本語で言ったら、同僚の日本人教師に笑われたけれど、どうして?」という質問もありました。これは「腹を立てる」のようにいったん表現が固定してしまい定型表現・常套句となると、そこに敬語表現を挿入できないという説明になります。このことは母語話者には感覚的・直感的にわかるのでしょうが、外国語学習者には理解しがたいのかもしれません。

2009年12月19日土曜日

言語と文化

年末のごあいさつと共に、私の新しい出版物『言語と文化:言語学から読み解くことばのバリエーション』の紹介をさせていただきます。

http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?book_id=10248&prev=new

この本は私がハーバード大学、マサチューセッツ州立大学、そしてサンフランシスコ州立大学で私が担当してきた“Language and Culture”に沿っています。知人からメールをもらいまして「エンジニアの主人が面白いと言って読んでいます」と書いてあって、本当に感激しました。言語学、特に社会言語学の専門でない人にも読んでもらいたいものですから、うれしかったです。機会があれば、ぜひご覧ください。

米国在住の方々にも宣伝したいとは思うのですが、少し問題があります。日本でなら税金込みで¥3,150なのですが、先日、サンフランシスコの紀伊国屋に電話で問い合わせたところ$48(plus tax)ということで、おもわず「高い!」と言ってしまいました。いつも私の本を担当してくれている紀伊国屋の人も「高いです!」と言っていました(笑)。

もし『言語と文化』をお読みになる機会があるようでしたら、ご感想などお聞かせください。

すばらしい新年をお迎えください。来年もよろしくお願い申し上げます。